2013年11月13日

大使と汗、インターナショナルスクールの歴史

あるインターナショナルスクールの校内誌を読んでいて、手がとまった。そのインターの生徒とある国の大使が被災地でボランティアをしている記事だった。季節は夏に近い気候だったのだろう。大使もボランティア活動用のTシャツを着ていた。


あるインターナショナルスクールの校内誌を読んでいて、手がとまった。

 

そのインターの生徒とある国の大使が被災地でボランティアをしている記事だった。

季節は夏に近い気候だったのだろう。
大使もボランティア活動用のTシャツを着ていた。

しかし、私の目を引いたのは大使のTシャツに書いてあるメッセージではなかった。
大使が着ていたTシャツのシミだった。

大使のTシャツは、色が変わるほど汗で濡れていた。

あまり笑わないイメージの大使だったが、大使のTシャツは、彼の人柄をうかがわせた。

彼は、インターの生徒とともに被災地で作業をしていたのだ。
シャツを着て、汗をかいていた。

グレーのシャツが黒に変わるほど。

私は、すばらしい写真だと感じた。
しかし、その記事がマスメディアで流れることはなかった。

インターの校内誌以外に載らなかったのだろう。

 

インターナショナルスクールは、きらびやかなイメージが先行することがある。

しかし、見学させてもらうインターの校舎の風景は、さほど日本の生徒たちと変わらない。
世界中、どこにでもいるティーンエイジャーの姿だ。

彼らは仲の良い友達と世間話をし、iPhoneを使い、Facebookやtwitterでその日の出来事を友達と共有し、音楽やドラマに心躍らせる。
スポーツや音楽、すばらしい小説に感動し、きっと恋にも夢中だ。

インターナショナルスクールだからといって、特別なことではない十代の姿がある。

大使は、ひょっとしたらその学校に通う生徒の父親だったのかもしれない。

保護者活動として参加したため、その写真は校内誌以外に使われなかったのかもしれない。

しかし、その写真は彼がまさに汗をかきながら、日本という地で、外交を行っている証だった。

大使の汗じみから、私は彼の人柄を感じることになった。

 

大使は、帰任し、次に着任する予定の大使が発表された。

次の大使は、着任前から高い人気を持つ。
きらびやかな家柄に注目が集まる人物だ。

彼女の父も、日本のインターナショナルスクールの歴史とつながっているところが、歴史の重さを感じさせる。

逆にいえば、日本の外交史とインターナショナルスクールの歴史は、深い関係がある。

インターナショナルスクールタイムズは、そんな外交史とインターナショナルスクールの歴史を掘り起こし、インターナショナルスクールが果たしてきた役割、使命をきちんと伝えたい。

ちょっと大それた考えかもしれないけれど、インターナショナルスクールタイムズ(現:Inter's インターズ)は、インターナショナルスクールの歴史も考える媒体です。


この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。