2016年10月20日
国際バカロレアは、広島と東京が熱い?国際バカロレアは、国公立・私立・インターナショナルスクールがそれぞれ異なる言語で実施しています。なかでも広島はインターナショナルスクール、私立、公立と人口280万人の都市ながら国際教育に積極的です。また、東京は国立、公立も国際バカロレアコースを設置。全国に普及するか、が注目です。
1970年代から英語で学べる仕組みをつくってきたインターナショナルスクール。
日本のインターナショナルスクールでは、セント・メリーズインターナショナルスクール、東京インターナショナルスクール、清泉インターナショナルスクール、K.インターナショナルスクール、アオバジャパンインターナショナルスクール、横浜インターナショナルスクール、大阪インターナショナルスクール、カネディアン・アカデミイなどが国際バカロレアを採用している。
日本の私立学校としていち早く国際バカロレアを採用した加藤学園暁秀。英語イマージョン教育でも有名だ。
加藤学園暁秀を筆頭に意欲的な私立学校が取り組んでいたが、認定校の多くがインターナショナルスクールだった。
2014年に国際バカロレアは、一気に国際教育の脚光を浴びることになる。
文部科学省の国際バカロレアのホームページのスクリーンショット
インターナショナルスクールや私立学校が国際バカロレアに積極的に取り組んできた。
平成26年の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の閣議決定で「200校」と全国的な目標が明確になった。
2020年までに国際バカロレア認定校等を 200 校以上に増やす
「200校計画」の実現には、47都道府県に一校以上必要であり、国公立も含め、強力に国際バカロレアが推進されることになった。
その結果、地域によっては国際バカロレアに取り組む学校が国公立・私立・インターの3つどもえとなるケースが増えてきた。
実際、広島県では国際バカロレアに取り組む学校が、国公立・私立・インターと増えてきている。
認定校、候補校を含め広島は、国際バカロレアの認定校が4校になる予定だ。
【インターナショナルスクール】
・広島インターナショナルスクール PYP/DP課程(教授言語:英語)2005年4月認定
【私立】
・AICJ中学校・高等学校 DP課程(教授言語:英語)2009年6月認定
・英数学館小・中・高等学校 DP課程(教授言語:英語)2016年6年認定
【公立】
・広島県立グローバルリーダー育成校(平成31年開校予定)DP課程(教授言語:不明)認定準備
広島県の人口は、280万。
それ対し、国際バカロレアのディプロマ課程で学べる学校が4校に増えることになる。
運営母体は違うが、まさに3つどもえならぬ4つどもえが起きようとしている。
注目が高い国際バカロレアだけに従来のインターナショナルスクール、国際教育に取り組む私立からさらに国公立にまで波及したといえるだろう。
インターナショナルスクールが多く、国際バカロレアの認定校が多い東京では新たな構図ができつつある。
広島インターナショナルスクールのホームページのスクリーンショット
東京は、インターナショナルスクールが多く国際バカロレアの認定校も多い。
今回、注目したのが国公立による国際バカロレアの取り組みだ。
まさに首都東京で火花を散らす学芸国際と都立国際の姿だ。
国立大学では、東京学芸大学が国際中等教育学校で国際バカロレアを導入。
東京都教育委員会は、都立国際高等学校で国際バカロレアコースを開校。
これにより国際バカロレアで、国立vs都立の対決が生まれたのだ。
それが学芸国際と都立国際の構図だ。
東京学芸大附属国際中等教育学校のひと学年は、約120名。
中高の6年で国際バカロレアのMYPとDPで伸ばす学芸国際。
日本語・英語のデュアル・ランゲージディプロマで学ぶのが特長だ。
進学実績を持つ学芸国際。
イギリスのインペリアルカレッジやハーバード大学など高い実績が出ている。
また、国際中等教育学校になる前の大泉校舎時代からの帰国生のOB/OGが社会で活躍している。
東京学芸大附属国際中等教育学校
URL:http://www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp
東京都立国際高等学校の国際バカロレアコースは、DP20名。
英語で学ぶディプロマコースだ。
ひとクラスの生徒構成は、日本人15名、外国人5名だ。
都立国際の強みは、本科を卒業した卒業生が世界の大学に進学していること。
その進学実績の上に、さらに国際バカロレアのディプロマで名門大学への上積みをねらう。
都立国際のディプロマ課程の一期生は、今年、秋に受験する。結果が楽しみな学校だ。
東京都立国際高等学校
URL:http://www.kokusai-h.metro.tokyo.jp/HPmaster/index.htm
先に国際バカロレア機構から認定を受けたのは、東京学芸大附属国際中等教育学校。
帰国生教育のパイオニアである東京学芸大附属大泉校舎時代から帰国生教育に特徴があった。
それに対し、東京都立国際高等学校。
英語など国際教育にフォーカスした都立高でも語学系に強い高等学校だ。
西武池袋線の学芸国際。京王井の頭線の都立国際とどちらも東京都23区の西部にある。
学芸国際は、中等教育学校のため中高6年間。都立国際は、高校のため3年間。
大きな違いは教授言語。学芸国際が日本語・英語のデュアルランゲージに対し、都立国際は英語のみ。
対象も全生徒が対象となる学芸国際に対し、都立国際はIBコースの生徒のみ。
やはり注目は、授業料。
インターナショナルスクールで英語で国際バカロレアを学ぶと、年間200万円を越える授業料が最低でもかかる。
私立でも年間70万円前後が多い。
奨学金制度を充実させている学校が多いのも特徴だ。
しかし、学芸国際と都立国際は、国立大学法人の附属高校と都立高校のため学費も格段に安い。
学芸国際は、中高の6年のうち中学校相当は義務教育のため無料。
そのため、高等学校に相当する4年生から授業料がかかる。
それでも年間授業料は、12万前後だ。
都立国際は、高校1年生から3年間のみ。
こちらも年間授業料は、12万前後だ。
年間授業料は、国立・都立ともほぼ同額となり競争率が高くなるのもうなずける。
言語的に考えると国際バカロレアが国公・私立・インターナショナルスクールの3つどもえではないと考えられる。
文化・言語的に違う背景の生徒がそれぞれ学べる学校を選ぶと実は、国公・私立・インターナショナルスクールは、言語的にも合理的なのだ。
なぜならば、どの言語で学ぶ学校を選ぶか、は生徒の言語背景に共通点が多いと考えられるからだ。
もちろん、母語や第二言語の発達と密接だからだ。
1.英語で学ぶ
帰国生やインターナショナルスクールに通っている生徒。
例:海外駐在経験や英語が母語または第二言語としている。
2.日本語と英語で学ぶ
英語が得意な日本の学校で学んできた生徒。
例:帰国生でもアジア圏の日本人学校に通っていた経験などがあり、英語よりも日本語が母語。
3.日本語を中心に学ぶ
日本語で探求的な学びを進めることができる生徒。
例:日本の学校で学んできた。日本語が母語。
生徒の母語、第二言語の習得度合いが違うため、進学先もそれぞれ特徴が出てくると考えるのが自然だ。
1.英語で学ぶ生徒
主に海外の大学に進学することが予想される。
2.日本語と英語で学ぶ生徒
国内の大学と海外の大学のふたつを選ぶことが予想される。
3.日本語で学ぶ生徒
国内の大学を選ぶことが予想される。
探求的な思考法や学びを体得した人材が、日本語・英語を中心に国内外に活躍する。
すなわち、英語・日本語と多様な言語で探求的に学べる仕組みができ、さらに多様な人材が増える仕組みになったといえる。
今後、国内で中国語やスペイン語でも国際バカロレアで学べる学校選びができるようになれば、国内にさらに多様な人材を輩出することができる。
日本の学校制度のなかで、さらに多言語な国際教育を実施できると、社会に毛細血管のように多様な言語と文化体系を理解し、実践的な人材が動き回ることになる。
そのためには、3つどもえではなくさらに多言語な国際バカロレアや国際教育を増やすことが重要だろう。
東京学芸大学附属国際中等教育学校は、2007年4月に開校した国際バカロレア認定校で、現在、中等教育プログラム(MYP)とディプロマプログラム(DP)を日本語と英語で実施しています。
都立国際高校の国際バカロレアコースの分析しました。IBコースの教育理念や難易度、偏差値、過去問もインターナショナルスクールタイムズとして分析。気になる学費や進路先などもまとめました。
「世界で使える大学志願資格」国際バカロレア(International Baccalaureate)とは、世界中を転勤する家庭の子どもが、大学に進学できるように国際的に認められる大学志願資格を作ろう!という動きから生まれました。世界的な転勤族の子どもの教育を考えて生まれたと考えるとわかりやすいですね。
この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。
スイスのジュネーブで、国連関係者・国際機関の子弟の進学方法を確保するために生まれた国際バカロレア。
そのため、国際バカロレアは、インターナショナルスクールから生まれ、育ったカリキュラムといえる。
国際バカロレア機構のホームページより引用