2016年12月19日
プリスクールからインターナショナルスクールを受験した場合、どのように対策を考えれ良いのでしょうか?意外と知られていないインター受験術。その方法と対策についてまとめました。インターナショナルスクールの小学部に進学したい、と考えたら一読してください。
冬は、高校、大学と受験シーズンですが、インターナショナルスクールの受験シーズンでもあります。
では、インターナショナルスクールの受験とはどのようなものでしょうか?
*本記事は、日本語を母語とする日本国籍のみを持つお子さんが、プリスクールからインターナショナルスクールの小学部に進学する場合を想定して書いてあります。
*二重に国籍を持つお子さんや海外からの帰国生は違う対策が必要です。
学校に入るためには、ご家族と学校が「入りたい」と「入学してほしい」があって受験が成り立ちます。
日本の受験ではスムーズに受験が成り立ちますが、インターナショナルスクールでは、いくつかのハードルがあります。
そのひとつがインターナショナルスクールは、日本の教育制度とは異なることです。
例えば、日本国籍だけを持つお子さんの保護者は、日本の小中学校に通わせる「教育の義務」があります。
詳しくは以前のタイムズの記事を参考にしてください。
インターナショナルスクールの小学校を考える前に義務教育について知ろう!
http://istimes.net/articles/780全国的にプリスクールやキンダーガーデンが増えています。待機児童の増加もあり、英語で学べるプリスクールの増加を後押ししています。そのまま近所の小学部のあるインターナショナルスクールに進学したくなります。しかし、その前に小学校と中学校は、義務教育。義務教育について知っておきましょう。
インターナショナルスクールは、設立された経緯もまちまちです。
ある国や民族のコミュニティーから発生したスクールは、その国籍を持つご家庭やそのお子さん、民族のために創立されており、日本人は基本的に受け付けないケースがあります。
スクール側としては、その国の関係者の志願受け入れで手一杯であったり、義務教育違反となる日本人を積極的に入学させるわけにはいかないのです。
いわゆる名門インターほど、きっちりとした線引きがされています。
しかし、例外もあります。
その国や言語圏からの帰国生は、教授言語が変わると日本の学校で学ぶことが不利になるため、特例としてインターナショナルスクールに通うことが認められています。
「ある国や民族」という表現がわからないと思いますので、基本的に日本人を受け付けていないスクールの見分け方をお伝えします。
それは、ホームページです。
ホームページに日本語ページがないスクールは、基本的に日本人を積極的に受け入れていません。
日本語のページがあるところ。
そこは、すでに保護者に日本人がおり、日本人の生徒も志願を受け付けるスクールと考えて良いでしょう。
しかし、ホームページの言語比率も重要です。
例えば、英語ページが70%で日本語ページが30%というところは、一定数で日本人を受け入れる可能性がありますが、日本語ページが50%のスクールよりも低いでしょう。
ちなみに教育理念で「二言語教育」を目指している名門インターでは、ホームページも英語と日本語の比率が50:50でした。
ホームページは、ネット版スクールパンフレットと考えるならば、ホームページの言語比率は、スクール側がどのような保護者に来てほしいか、を言語で示していると考えられます。
インターナショナルスクールの受験は、歴史のあるインターほど難易度が高くなっています。
いわゆる名門インターナショナルスクールほど、生徒構成比率をしっかり考え、多様性のある生徒構成にしようとします。
多様性を確保する上で、同窓生、外資系企業、外国人駐在員と太いラインがあり、そのルートからの志願者だけで定員になるスクールもあります。
そこに日本人は志願しているのです。
ちなみに名門インターは、創立時に外国人コミュニティーから経済的な支援を受けて設立されたスクールも多く、外国人駐在員の子弟が優先されます。
そのため、年度によって日本人の志願を受け付けないケースもあり、枠があっても人数が限定されていることが多いこともあります。
毎年、「日本人枠がある」とは限らないところが、日本の受験と大きく異なるポイントです。
近年、プリスクールに通う日本人生徒が増えたため、「小学校や中学校もぜひ、インターで学ばせたい」というご家庭が増えました。
プリスクールという分母が増えましたが、名門インターの定員は決まっています。
プリスクール卒園児のお子さんが名門インターに志願する分母が増えたため、人気が集中しています。
そのため名門インターの小学部を志願しても、書類選考で落ちるケースも増えています。
先ほどの「日本人枠」もあり、面接までたどり着くのも難易度が高いのが特徴です。
そのため名門インターの受験難易度は、相対的に日本の受験よりも高いといえます。
なぜならば、日本人を対象としていないインターで、日本人として受け入れてもらうには、それなりの教育的理由と方向性の一致、熱意が必要だからです。
また、世界の経済状況によって外国人駐在員の子女の人数も年度によって大きく違います。
「日本人枠がどのくらいあるのか?」わからないなかで、受験をします。
合格発表も面接後に個別に連絡がくるため、誰が受けて、誰が落ちたのか、がまったく見えないブラックボックスなのです。
そのため、受験日と受験者、合格発表とすべてが一斉に実施される日本の受験にくらべ、難易度ははるかに高く、そして、対応策が難しいといえます。
面接にたどり着く日本人志願者は、かなりのハードルを越えた保護者であるといえます。
その一方で、近年創立されたインターは、設立理由に日本人を対象に含めた国際教育の提供を理念としているところが多く、書類段階で落ちることは少ないのが現状です。
そのため、面接段階で教育理念と家庭の理念と方向性が問われるため、簡単ではありません。
特に幼稚部から小中高とエスカレーター式のインターナショナルスクールほど人気が高まっています。
近年、人気が集まるのがひと昔前の新興インターと呼ばれたスクールです。
新興インターの多くは、90年代以降に創立されました。
新しいスクールは、新たな教育を取り組みやすいため、国際バカロレア教育を積極的にカリキュラムに採用しました。
高等部の卒業生がいない場合、新興インターはそれほど人気ではありません。
しかし、第一期卒業生や二期生と大学の進学実績がわかってくると、人気スクールに変わります。
さらに五年,十年と卒業生の進学実績が積み上がると名門インターの仲間入りし、全体的に難易度が高まっています。
また、近年ではプリスクールが増加し、インター小学部を希望する生徒数が増えています。
それに対し、日本人を受け入れるインターの小学部が少ないため、インターの小学部受験が激化しています。
詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
少子化なのに小学校が足りない?インドなど人口が急増している国の話ではなく、日本のこと。英語で学べるプリスクールが数多くあるのに対し、英語で学べる日本人のための小学校が足りないのです。小中学校は、義務教育のため日本人がインターナショナルスクールの小学校に進学するのは、理論上は義務教育違反。英語で学べる小学校のニーズが高い
普段は、敷居の高いインターナショナルスクールもフードフェアやフェスティバルでは、一般開放されています。
そのためフードフェアやフェスティバルは、学校選びの下調べにぴったりです。
学校の施設、先生や生徒、保護者の姿が見え、校風も感じることができます。
もちろん、一種のお祭りなので、普段の学校の授業とは違いますが、施設、先生、生徒、保護者を知るところからスクール選びはスタートします。
インターナショナルな感覚をお子さんとともに楽しみながら下見ができるのでオススメです。
フェスティバルで学校説明会も開催するところも増えてきました。
また、受付で「資料をください」というとすぐに準備してくれることもあります。
学校側にとっても、フードフェアやフェスティバルは入学希望者の最初のステップと考えているようです。
秋始まりのインターは、冬・春に学校説明会を開催し、春始まりのインターは、春と秋に学校説明会を開催します。
これは単純に学校側として入学時期から逆算した設定となっています。
説明会は、校長先生によるウェルカムスピーチ、教育理念、カリキュラム、学校行事、施設見学、志願方法などの説明があります。
基本的に英語で行われますが、英語・日本語のバイリンガルな体制が多くなってきました。
日本の「お受験」では、説明会にふさわしい服装、持ち物などが学校ごとに決まっています。
基本的にインターの場合、説明会で定番の服装はありません。
外国人の場合、ジーンズにTシャツということも多々あります。
多様性を尊重するインターでは、服装よりも学校の教育理念への共感が重視されます
しかし、第一印象は重要です。
フォーマルのスーツでは逆に浮いてしまうので、ジャケットなど落ち着いた服装を心がけたいですね。
説明会では、普通に疑問に思ったことはすぐに質問してみましょう。
参加者全員の前で質問する場合は、多くの人が疑問に思うことを質問することがマナーです。
例えば「日本語の授業が毎日ありますが、日本語母語の生徒は小学校6年生でどこまで漢字が書けるようになりますか?」と多くの方に共通する質問をしましょう。
「自分の息子は○○だからどうしたらよいですか?」という個別質問は、全体説明会の後に担当者に直接、質問しましょう。
インターの志願は、日本の受験と同じように志願書を記入します。
志願書は、多くの場合英語で記入し、提出します。
実は、この志願書が重要です。
プリスクールに通っている場合、プリスクールの担任からの推薦状、園から成績表が必要になります。
推薦状ですが、お子さんの学校での様子を知っている担任以外の先生の推薦状も必要になることがあります。
また、最低1年以上はお子さんと接している先生が書く推薦状のみ、というケースもあります。
ここで重要なのが、そのスクールの教育理念とご家庭の教育理念がどのように一致しているか、ということ。
学校が一番困るのが、入学後に「こんな教育じゃ困る」と保護者にいわれること。
教育理念とカリキュラムを理解し、「なぜそのスクールを選んだのか?」をご家庭の教育理念とお子さんの未来を含め書いていく必要があります。
志望理由に教育理念の共感とスクールに通わせる合理的な理由と入学への熱意が必要です。
ちなみに志望理由でワーストケースを記載しています。
「御校の理念に共感し、英語を上達し、通うのに便利だったため」
学校側としては次の疑問が浮かびます。
・本校の教育理念にどのように共感したのか?
・スクールの教育理念と家庭の育て方で実際にどこが一致しているのか?
・英語を上達させたいならば、英語塾に行けば良いのでは?
・通うのに便利よりももっと教育的な理由がないだろうか?
この志望理由は、次の面接で論理的な回答が求められるため、願書で重要な項目です。
親としての育て方、各ご家庭の文化背景、お子さんの将来をどう考えているのか?など深く考え、そして分析する必要があります。
簡単そうで、実は一番深く考える必要があるのが、志望理由です。
その他の願書の記入事項は、それほど問題にはならないのですが、注意事項がひとつ。
スクールバスがない、遠いところから志願する場合は、どのように通学するのか?を明確に説明する必要があります。
スクールの近くに引越す場合は、良いのですが、例えば、通学に2時間かかる場合は、スクール側としてお子さんの安全と通学可能性に疑問を持ちます。
すなわち、途中で辞める可能性があるのでは、と感じてしまいます。
インターの面接は、スクールによって大きく異なります。
一般的には、個別面接、集団行動観察が基本的な受験時の面接です。
英語のみのスクール、英語が中心で日本語の通訳がつくケース、日本語で可能がケースと分かれます。
個別面接は、
・保護者だけ
・保護者とお子さん
・お子さんだけ
の3つのパターンがあります。
保護者面接では、校長、入学担当、教員の3人が同席することが多いようです。
教育理念や家庭での育て方、今後のお子さんの教育などに訊かれることが多く、ここで願書の志望理由と整合性の高い回答をしていく必要があります。
ちなみに失敗する面談のケースをいくつか掲載します。
・願書と異なる教育理念を回答してしまう
・保護者の一方だけが一方的に話す
・黙って聞いてしまうだけ
インターでは、保護者が積極的にスクールを支援していきます。
そのため、教育理念に合致しない、保護者の一方だけが共感しているケース、消極的なコミュニケーション能力の場合、一緒にスクールを盛り立てることができない、と判断されます。
保護者とお子さんの面接では、お子さんが保護者といるときの姿や親子のコミュニケーションを分析します。
ここでは、親子の触れ合い方や言語、共通の話題など親子関係を見ていきます。
お子さんだけの場合は、教員が普段の生活やその子の英語力、数理能力、性格などを観察します。
お子さんの性格、コミュニケーション能力などを確認しますが、なかでも重要なのは英語力です。
インターに入るとその後、12年間にわたり英語で学ぶため、英語力が重要です。
集団行動観察では、自分たちでルールを作り、守ることができるか?
多様性を尊重しながら、どのように振る舞えるか?
どのような役割を果たし、相手の話を聞き、尊重できるか?など人格面を確認します。
スクールによっては、リーダーシップをどのように発揮するか?などが項目に入っているケースもあります。
合否は、入学可否の公式の会議で検討されるため、コネクションが有利とはいえないのがインターの厳しさ。
あるスクールでは「教職員の志願者も落ちるケースがある」と明言している学校もあります。
教育の質を高めるために、「教職員の子弟といえども特別扱いはしない」のです。
妥協をしないインターの姿が見えます。
また、選考プロセスは、国際認定機関からの認定調査項目です。
しっかりした基準とプロセスがなければ、認識機関から指摘を受けます。
合否の知らせは、メールおよび手紙で届くことが多くなっています。
インターは、海外からの転勤族の志願やウェイティングがあり、合格後は、すぐに入学金の支払いなど手続きを求めることが多くなっています。
インターは、日本の休みと違うことが多いため、面接までにたどり着くのに半年かかる場合も有ります。
例えば、12月上旬に願書を提出した場合、ほとんどがウィンターブレイク(冬休み)に入ってしまいます。
1月になり、面談を組むため、3月、4月に組まれることになります。
また5月に願書を送った場合、6月からサマーブレイク(夏休み)に入ってしまい、入学担当が願書を見るのが8月下旬ということもあります。
そこから面談を組むため、面談が10月というケースもあります。
くれぐれもスクールの休みを逆算して願書を提出したいですね。
インターの受験で重要なのは、スクール側の気持ちになることがポイント。
すなわち、 「ご家庭の教育理念とスクールの教育がどれほど論理的に合致するか」ということ。
お子さんにどのような人物になってほしいか。
そのために論理的にそのスクールを選んだ理由が必要です。
スクール任せではなく、家庭とスクールがともにお子さんの将来のために努力する。
そのためには、スクールの教育理念とご家庭の理念の照らし合わせが必要です。
インターナショナルスクールの受験対策をしている塾は、珍しくグローバル・ステップ・アカデミーでは、進学相談をしています。
名門インターナショナルスクールの教師が受験対策をしてくれます。
グローバル・ステップ・アカデミー Global Step Academy
https://global-step.jp/ja/consulting.htmlインターナショナルスクールの編入学の進学コンサルティングをしています。
インターナショナルスクールの「トリセツ」〜7分30秒で丸わかり〜
http://istimes.net/articles/805インターナショナルスクールとはどんな学校なのか?どのように学ぶのか?どのような生徒が通っているのか?また、どのような保護者が通わせているのか?などインターナショナルスクールについて取材を通してまとめました。乳幼児が通うプリスクールではなくインターナショナルスクールについてのまとめです。
学費も年収も2倍に?日本人がインターナショナルスクールに通うメリットとは?
http://istimes.net/articles/782日本人がインターナショナルスクールに通うメリットとは?インターナショナルスクールタイムズの調べでは、学費は日本の学校に通わせるより2倍以上かかります。しかし、インターナショナルスクール卒業生の所得も2倍以上になっていると考えられます。
お子さんが生まれると一度は、インターナショナルスクールに通わせることを考えませんか?有名人が子どもをインターナショナルスクールに通わせている記事も載ります。ネットでインターナショナルスクールのホームページを見て、高い授業料に驚いた方もいると思います。なぜ、インターナショナルスクールの授業料は高いのか?をまとめました。
この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。