2017年02月01日
インターナショナルスクール。ちょっと遠い存在の学校というイメージの方が多いのではないでしょうか。タイムズ編集部は、スクールのお力を借りて取材を進めてきました。そのなかでちょっとふしぎな存在だったインターナショナルスクールの姿に触れることができました。そこで印象的な10の物語と番外編をお伝えします。
そう感じる方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、インターナショナルスクールのルーツをさかのぼると、明治維新前後の開国による外国人駐在員のための学校として開校しています。
外国人駐在員のための教育機関として開校されたため日本人を対象としていませんでした。
そのため、百年以上の歴史がある教育機関ですが、その多くがひっそりと運営されてきました。
また、英語で教えるところが多く、学校関係者がわざわざ日本語で情報を発信する必要も少なかったのです。
情報が少ないため「なぞ」「ふしぎな」スクールとして存在感を増していったのではないでしょうか。
ちょっと都市伝説っぽいところもあったインターナショナルスクールが広まってきたのは、1980年代後半から90年代と考えられます。
80年代後半からプリスクールやキンダーガーテンなど幼児向けの国際教育機関が増えました。
プリスクールやキンダーを卒園した日本人を中心にインターナショナルスクールの小学部に入学する生徒が少しずつ増えていったからです。
その後、90年代後半、2000年代はプリスクールブームもあり急激に増えていきました。
『港区を歩くとスタバよりもプリスクールの方が多い』と揶揄されるようになったプリスクール。
そこで、今回、プリスクールを含めインターナショナルスクール全般の印象的な話を集めてみました。
馬車で人事異動を報告?
実は、公式なセレモニーだったのです。
大使などが赴任した場合、信任状を天皇陛下に届けます。
そのため、東京駅から天皇陛下に信任状を届ける儀式として、馬車に乗ることがあるようです。
正式には、信任状捧呈式と呼ばれ東京駅から皇居まで馬車で信任状を届ける儀式です。
お父さんが大使というケースもインターナショナルスクールの保護者にはあります。
辞令を届けに馬車に乗る。
めずらしい話ですが外交の大切な儀式です。
スポーツデイ(運動会)に清涼飲料水メーカーに勤めるお父さんから差し入れで飲み物が届いたエピソード。
届いた分量が、差し入れを越えていました。
なんとトラック一台で差し入れ。
全校生徒と保護者分だったそうです。
保護者が積極的にスクールに関わる例としては、その他にフェスティバルで商品の寄付などがあります。
実際にアジアのある都市にあるインターナショナルスクールから転校してきた生徒さん。
現地のインターナショナルスクールと日本のインターナショナルスクールを比較して話してくれました。
そのひとつが、守衛さんが丸腰で何も武器を持っていないことに驚いたそうです。
その生徒さんが以前駐在していた国のインターには、資源国の王室のお子さんなどが通っていたそうです。
その生徒さん曰く『一度、下校時に目の前で生徒が誘拐されかかった』とのこと。
『翌日から軍隊が警備にあたった』そうです。
王室関係や外交官の子弟が誘拐された場合、国レベルの問題になってしまいます。
日本では、比較的治安が良いため守衛さんは警備と交通安全が中心ですね。
やはり外交関係者の場合、送り迎えを車のことも多く、外交官ナンバーの車で送り迎えのケースもあります。
日本が外交を結んでいる国は、約196か国。
そのうち大使館や領事館、さらに国際機関も含めると多くの駐在員が住んでいます。
青ナンバーで送り迎えは、インターナショナルスクールがそもそも駐在員のために生まれた教育機関という経緯を知ると納得です。
日本は、電車が発達しているので電車で通学はめずらしいことではありません。
日本に来ると通学に電車にびっくりするケースもあるようです。
行きはスクールバスでも、帰りにクラブ活動をするとスクールバスが終わっているため、電車に乗って帰ることもあります。
『初めて日本で電車に乗る子には、切符の買い方から教えるんですよ』とあるスクールの関係者が話してくれました。
国が変われば、通学方法も変わります。
海外から帰国した日本人の生徒さんが『海外に暮らしていた時は、家族全員にドライバーと車がついていたから、学校もドライバーが送り迎えしてくれたんだけど、今は電車で通っています』というエピソードも。
インターの高等部の生徒さんが卒業旅行にハワイに行ったそうです。
しかし、飛行機はLCC。
もちろんホテルも格安。
編集部で各スクールの進学先を調べていると時折でてくる進学先に士官学校があります。
進学先のアメリカやイギリスの欄にIVYリーグの大学に並んで「士官学校」と掲載されています。
アメリカ、イギリスなどの士官学校の多くは、入学が難しく、難関です。
ちなみにイギリス王室の王子も代々士官学校に進学しています。
王族を含め、士官学校に行くことが当たり前の国も多く、国内のインターナショナルスクールでも、進学先が海外の士官学校の場合もあります。
お子さんの授業参観に保護者が来たケースです。
駐日大使のため、いわゆる国連総会に出る国連大使とは違うのですが、実際に外交に携わる仕事で日本に来ている家庭も多いため保護者が大使館関係者ということは多くあります。
お子さんの授業参観にも積極的で、模擬国連を見学することもあります。
また、大使館関係のお子さんが通っているため、学校が気をつかうことがあります。
そのひとつがある教科の教え方。
それが「歴史」。
特に「世界史」となると教える先生も生徒の母国となどその国の歴史上の立場を考えるそうです。
そのため中立な立場で教える必要があり、気をつかうそうです。
実際に『◯◯先生の授業でうちの子が世界史について習ったが、それは我が国の史観と違う』と指摘されることがあったそうです。
また、取材するなかで印象的だったエピソードがあります。
それは都心部にあるインターナショナルスクールのエピソード。
あるクラスに複数の大使館関係者のお子さんが学んでいました。
しかし、ある日のこと。
クラスに通う生徒の母国同士が戦争状態になりました。
戦場から遠く離れた日本とはいえ、敵国となった国同士の大使館関係者のお子さんが同じクラスで学ぶことになったのです。
この時、クラス担任の先生がとにかく注意をはらったこと。
それは、戦争がどうであれ、子どもたちは同級生であり、学校は学ぶところということ。
また、いじめが起きないか心配されたそうですが、なんと子どもたちが前より仲良くしよう、となったそうです。
母国同士が戦争になっても、それを教室に持ち込まない。
インターナショナルスクールが直面するシリアスな現実です。
家とスクールが近い場合、ママチャリで送り迎えをするお母さんの姿も多いですね。
都心部だと交通渋滞などがあり、車よりも自転車でサッと送り迎えする方が楽なケースも。
外国人の方がさっそうとママチャリで送り迎えに来る姿。
健康にも良く、便利ですものね。
『名前も年齢も住所も言えないが、英語で教えてくれる家庭教師を毎日お願いしたい』。
これは編集部に実際、数年前に依頼があった家庭教師の派遣依頼です。
電話口は日本人でした。
英語で教える家庭教師の派遣依頼でしたが、対象となる生徒の名前と年齢、さらには住所など連絡先も教えてくれません。
とにかくお子さんの年齢と性別だけ教えてもらい、電話口で年齢と学ぶべき内容について説明し、家庭教師の仕組みについて説明をしました。
何度かやり取りし、ようやくわかったのはその日本人がある国の大使館関係者ということでした。
すなわち『大使のお子さんに家庭教師をお願いしたい』とのこと。
実は、ちょうどその国でクーデターがあり、その国は無政府状態になっていました。
そのため大使館付きの教員が引き上げて困っていたそうです。
しかし、本国から遠く離れた日本といえども反政府派がどう動くかわかりません。
大使とご家族は、本国から離れているとはいえ、標的にされます。
その一方で、大使のお子さんたちが育っていくには、教育が必要です。
そこで職員さんが、身元を明かさず家庭教師の依頼をされました。
特にその国は、宗教上の理由から一般的なインターナショナルスクールにも通えないケースでした。
そのため、本国のクーデターの関係で本国からの大使館付きの教師派遣が終了し、困って編集部に連絡をしてきました。
特殊なケースですが、国際教育を求める声を実感した教師派遣依頼でした。
ちなみに現在、クーデターは治まり新政府が統治をしています。
『インターの動向を教えて!』数年前の3月にかかってきた一本の電話。
電話で20分ほど『インターの動向』について厳しい質問がありました。
編集部は、インターナショナルスクールの啓蒙活動も運営目的としているため、このような質問にも応対します。
この時もインターナショナルスクールについて説明をしましたが、その図々しくもさらりとした会話が妙に印象的でした。
正直、失礼だなぁと思っていたのですが、なんとその電話は、翌年、さらに翌々年も3月下旬にかかってきました。
3月下旬。
いわゆる年度末を控え、忙しい時期にひょうひょうと電話してくるコンサルティング会社の担当者。
さすがに2年目からも、声でわかります。
会ったこともないのですが、年に一度の行事のようです。
ちなみに年に一度のヒアリングで、資料を作成し、それを毎年バージョンアップしている様子。
一度くらいは、できたレポートを編集部に送ってくださいね。
ちょっと不思議な世界『インターあるある』。
国際教育のニーズは広がりを見せているため、今後も世相を反映した『あるある』が増えそうです。
ある日、編集部に電話が。「編集長と話がしたい」。
記事のクレームを覚悟して、都心のホテルのラウンジへ。
ホテルのラウンジには、ご高齢のおばあさまがひとり。
不思議な打ち合わせは、そこから始まりました。
おばあさまは、一人でホテル暮らし(サービスアパートメント)に住んでいました。
ある地方都市の駅前にいくつもの不動産を持ち、独り身になってからホテル暮らしをしていました。
おばあさまのお話は、地方都市のあるビルの建て替えとそこにインターナショナルスクールを誘致できないか、という話でした。
「言ってくれれば、場所は作るから」という破格の条件でした。
その時は、すぐに入れるインターナショナルスクールが見つからず、話は流れました。
そのホテルのラウンジで今でもおばあさまがアフタヌーンティーを楽しんでいるのか、とても気になります。
ボーディングスクールのスゴイ学費。世界トップに人脈を作るには、やはりお金がかかる?
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2020年 オリンピック前後に待ち受ける教育の4大変化を知ると新たな勝ちルートが見えてくる?
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この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。
家がお金持ちでも、しつけの厳しい親も多いようです。
その理由のひとつが、自分で稼がないのなら、それ相応にやりくりする力を育てることが狙いのようです。
そのため、卒業旅行はハワイでも、ベビーシッターなどで稼いだお金で行ける範囲で必死で安く行けるようにLCCなどを活用するインター生の姿も。
感心するのは、英語で格安航空券などを調べるので、日本語で調べるよりも豊富に情報を集めることができます。
そのため、安く卒業旅行に行っていました。