2017年03月17日
オランダ在住のローズさんのコラムです。香港→マカオ→マレーシア→オランダで子育てをしてきたローズさんが、子どもをインターナショナルスクールに通わせてよかったと思う理由を親目線から考えてみました。
筆者は、現在オランダで9歳の男の子をアメリカンスクールに通わせる母親です。
オランダに住んで2年程ですが、その前はマレーシアに約5年、マカオに約2年、その前に住んでいた香港で息子は誕生しました。
夏休みなどの長期休暇を利用して日本には滞在するものの、日本に住んだことのない息子がインターナショナルスクールに通うのは自然な選択だったのかもしれません。
でも、2歳のナーサリー時代から小学校中学年となった現在までを振り返ってみると、彼をインターナショナルスクールに通わせて本当によかったと思っています。
今日はそのことについて書いてみたいと思います。
インターナショナルスクールでは英語で授業が行なわれるので、当然といえば当然なのですが、英語に関してはネイティブといってもよいでしょう。
校内はもちろん、日常生活、旅行先などでも英語でのコミュニケーションに困ることはありません。
公立校で中学校から英語をはじめ、苦労しながら英語を学んできた筆者からしてみると羨ましくなってしまうほどです。
いつの間にか通訳をしてくれるようになったので今では楽をさせてもらっています。
彼は7歳の時に力試しに受けさせた英検3級に合格しています。
それ以来は試験のタイミングに合わず受験できていないのですが、今受験するなら準1級くらいでしょうか。
学校の課題や読んでいる本の内容からそのくらいかと思います。
ちなみに英検準1級は短大卒程度のレベルだそうです。
筆者の英語力では完全に抜かれてしまってお手上げ状態。
逆に安心して学校にお任せしています。
親のやることといえば、学校の課題をやっているかの確認や個人面談で学校での様子を聞くくらいです。
個人面談以外でも気になっていることなどがあったら、いつでも担任の先生に相談することができます。
残念ながら今の学校は日本人の生徒が少ないため、学校で日本語のクラスはありません。
ですので、日本からの教材を使って日本語の学習を続けさせています。
会話に関しては普通にコミュニケーションを取ることができるのでいわゆるバイリンガル。
また、オランダではインターナショナルスクールでもオランダ語を学ぶことが必須となっているので週2回オランダ語の授業も受けています。
さすがにオランダ語はまだ簡単な会話しかできませんが、オランダ滞在中に学習を続けていけばマルチリンガルも夢ではないかもしれません。
ヨーロッパでは、国と国がつながっており移動が自由な背景があるせいか、複数の言語を操る人は珍しくありません。
インターナショナルスクールには、仕事やさまざまな理由で自国以外の国に住むことになった家族の子女が多く通っています。
現在の学校は特にダイバーシティ(多様性)がすばらしく、全校合わせると、世界76カ国からの生徒が通っているそうことです。
学校の雰囲気はまさにインターナショナル。息子のクラスメートもアメリカ、スペイン、イタリア、トルコ、イギリス、アイルランド、韓国とさまざまな国から来ています。
同じクラス内だけでなく学年の違う子どもとも休み時間や放課後にサッカーとすることで仲良くなっているようです。
好きなことや趣味を通じて友情を育むことができるのですね。
年齢や国籍を越えて、楽しく遊んでいる様子を見ているとインターナショナルスクールの良さを実感します。
インターナショナルスクールの生徒たちは親の仕事の都合により数年単位で移動することが多く、自分が引っ越さなくてはいけなくなった時も、また仲良くなった友達が引っ越す時もつらいものです。
でも、今はSNSなどの便利なツールがあるので引っ越した後も連絡が取りやすくなってきました。
長期休暇でお友達が会いに来てくれたり、逆に自分が訪ねていったりするのも、楽しみの一つです。
インターナショナルスクールでは、それぞれの個性がとても大切にされているように感じます。
生徒たちの国籍や育ってきたバックグラウンドが様々なので、画一化するのが難しいということもあるでしょう。
でもそのことが、子ども達の個性を潰さず、本来持つキャラクターでいさせてくれるのかもしれません。
「それぞれが違う」ことが前提なので、違うことを理由に批判されたり、いじめられたりすることはありません。
「ぼくはこうやるけど、きみはこうやるんだね」と自分のやり方を押し付けるようなことはしません。
そんなことをしなくても、良いことは自然と広がっていくものです。
互いに尊重し合って共存していくということを子どもの頃からいつの間にか身に着けているのかなと思います。
また、今通っているアメリカンスクールでは制服や校則もないので、服装や髪型も自由です。
特に中学生以降になると、髪をカラフルに染めていたり、男の子でもバンダナやアクセサリーなどを着けたりしておしゃれをしている子もいます。
でも意外とそういう子は少数派で、大抵の子はTシャツにジーパンやスウェットパンツ。
派手な格好をしている子でも、勉強や課外活動などはきちんとやっています。
校則で厳しく取り締まったりしなくてもいいのだなと改めて実感しました。
インターナショナルスクールでは1クラスの人数がだいたい20名前後となっています。
そこに担任の先生とアシスタントの先生が入るので、クラス全員に目が届きやすい環境です。
ワールドブックデーでの1枚。各々お気に入りのキャラクターに扮して授業を受けています。
同じクラスの中でもいくつかのグループに分かれて、自分に最もあったレベルで学習を進めていくことができます。
算数な得意な息子は「エクストラ・プロジェクト」に参加することを認められ、そのことがさらに自信につながっているようです。
得意なことをさらに伸ばしてもらえることは子ども達の人生の中で強みとなっていくことでしょう。
同じ学校には障害を持っている子たちもいます。彼らも必要なサポートを受けながら学習を続けています。
スペシャルサポートを受ける選択肢があるからです。
同じクラスにディスレクシア(識字障害)を持っている子がいます。
会話には問題ありませんが、読み書きのある授業にはやはり困難が伴います。
息子はそれまでディスレクシアを知りませんでしたが、先生がクラスに説明してくれて理解することができました。
その子はクラスの授業の時間に特別支援クラスに行ったりすることもありますが、他のことには問題がないので休み時間などはみんなと一緒に遊んでいます。
このように、それぞれの子どもが必要とする学習環境に柔軟に対応してくれるのもインターナショナルスクールの良さだと感じています。
ご存知のように英語ではファーストネームで呼び合う文化があります。
ですので、歳が自分より上か下かということで、対応が変わるということがあまりありません。
年下だからと言って威張ったり、年上だからといって急にへり下ったりするのは考えてみたらおかしなことです。
放課後のプレイグラウンドにて。大きな子も小さな子も混ざってサッカーをしています。
息子の学校の子ども達は年下の子が遊びの輪に入ってくると、何となくかばいながらうまく遊んでいます。
時には身長が何十センチも違うようなハイスクールの生徒と遊んでいることもあります。
どうやって一緒に遊んでいるのかこっそり観察していると、やはり大きな子が手加減してくれながら遊んでいるよう。
バスケットやサッカーをしたり、おしゃべりをしたり、みんな楽しそうにしています。
高校生は普段勉強が大変ですから、たまに小学生と遊ぶのが息抜きになるようです。
小学生にとっては刺激があって楽しいのはいうまでもありません。
でもその姿がとても自然で、体の大きさこそまちまちですが、ただ友達と遊んでいるという雰囲気なのです。
年齢の違う人とも遊びを通じて対等に接することができる環境はとてもよいと思います。
生徒同士だけでなく、保護者に対しても対等です。息子が4歳の頃のお友だちに初めてファーストネームで呼ばれた時には、びっくりするやらくすぐったいような気分でしたが今ではすっかり慣れました。
たまに日本へ帰った時には自ら「おばちゃん」を名乗らなくてはいけないのでぐっと老け込んだような気分になります。
日本でもファーストネーム制が浸透するといいですね。
ちなみにアメリカンスクールでも先生に対しては、Mr.やMrs.などを付けて呼びます。
やはりその辺の線引きは必要なのでしょう。
かといって過度に畏敬の念に囚われたりすることは全くなく、適度な敬意と教えてもらう人に対してのマナーのようなもののようです。
先生と保護者はどちらでも構わないようですが、やはりファーストネームで呼びあった方がぐっと親近感が沸き、コミュニケーションが取りやすい気がします。
いかがでしたでしょうか。
筆者が一人の母親として、インターナショナルスクールに行かせてよかった理由を挙げてみると大きく5つになりました。
細かいことまでいえば、もっともっと挙げられるでしょう。
インターナショナルスクールで教育を受けさせることは、学費が高かったり、より多くのサポートが必要だったりと親の負担も少なくありません。
それでもメリットの方がはるかに大きいと感じています。
すでにグローバル化が進みつつありますが、今後より激化していく中で、筆者自身が経験してきた苦労を子どもにはさせたくないという想いも込められています。
息子のインターナショナルスクール生活はまだまだ先が長いですが、将来、彼の自己実現の大きな助けになることを信じてやみません。
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