「説明会のために、海外から帰国された方も多くいらっしゃると思います」
■壇上で出口校長のひと言が、この学校の特徴を あらわしている。
2012年9月29日 第二回学校説明会が開催された。
当日は、子供と一緒に家族で説明会に参加している姿を多く見かけた。
また、隣の東京学芸大学附属大泉小学校で運動会も開催されており、にぎやかな雰囲気のなかで学校説明会が開催された。
東京学芸大学附属国際中等教育学校(以下、学芸国際中等と記す)は、2007年4月に開校した。
前身の東京学芸大学附属大泉中学校と東京学芸大学附属高等学校大泉校舎は、帰国子女教育で実績を残し、2007年に「国際社会の第一線で活躍する人材を育成」するために東京学芸大学附属国際中等教育学校に統合・再編された。
2007年に入学した生徒が現在6年生(高校3年生)であり、全校生徒約700人の学校である。
2013年3月に第一期の卒業生が巣立っていく予定である。
校舎エントランスの案内板
校舎は、N棟(North Building)、W棟(West Building)、C棟(Center Building)、S棟(South Building)、E棟(East Building)がある。
さらにプール、体育館などがW棟の後ろにある。
■学芸国際中等 3つの特徴
①国際バカロレアのMYP課程
文部科学省の学習指導要領に則り、国際バカロレア(以下、IBと略す)のミドルイヤーズ・プログラム(以下、MYPと略す)の規定に従い、日本語で教えている。
②中高一貫教育
中等1年から3年は「前期課程」 、4年から6年は「後期課程」 と呼ぶ。
一般生、帰国生、外国籍生徒が中高で机を並べる
③教育大学の附属校
東京学芸大学の附属校として、教育実習を受け入れている。
また、国公立初のIB-MYPの導入により、研究・調査などの対象となっている。
インターナショナルスクールタイムズの視点
■①学芸国際中等の国際性
学芸国際中等の国際性をもっとも表す数字がある。
56カ国という数字だ*1。
実は、この数字、世界中から学芸国際中等に入学してきた帰国生の滞在国数である。
さらに全校生徒の約40%が帰国生である*2。
帰国生が世界中から集まることによって、生徒集団のなかに多様性が生じる。
世界中からの帰国生と外国籍生徒、一般生が中高と一緒に学ぶ環境が、学芸国際中等の土台にある。
*1,2 東京学芸大学附属国際中等教育学校のホームページ 在校生滞在国一覧より
【インターの窓から】
インターナショナルスクールの生徒は、主に世界中から日本に来る外国人生徒によって構成されている。
実は、インターナショナルスクールの生徒の国籍は、多くても30数カ国。
もちろん、学芸国際中等の生徒の滞在国数とインターナショナルスクールの生徒の国籍数が同じ意味というわけではない。
しかし、学芸国際中等の国際性を象徴する数字だ。
■②互いに高めあう環境
附属高校大泉校舎時代、生徒は帰国生のみを対象とした学校だった。
しかし、学芸国際中等では、一般生、帰国生、外国籍生徒が共に学ぶ。
帰国生、一般生、外国籍生徒が互いに刺激し、影響を与え合う。
異なる文化背景を持った生徒が一緒に学ぶことで、相乗効果がうまれやすい。
バス通りから正門を眺める。
相乗効果という点において、興味深いエピソード
それは、一般生における在学中の留学希望者の増加だ。
一般生が帰国生、外国籍生徒から刺激を受け、自ら留学を希望する数が増えているそうだ。
また、進路についても、インターネットで海外の大学について調べ、先生に「この学校に興味がある」と相談してくるそうだ。
その背景には、国際性を持ったカリキュラムも影響していると考えられる。
また、ワークキャンプで海外に行くことも国際的な視野の広がりに影響与えている。
しかし、1番大きな影響は、やはり一般生が帰国生と外国籍生徒とともに学んでいくプロセスにあるだろう。
同級生と進路について、海外の大学も含め、自然と考えるような環境にあるといえる。
進学先を考える上でも、一般生、帰国生、外国籍生徒が相互に影響しあい、高め合う構図ができている。
海外の大学も含め、いろんな進学先を自分から選ぶ。
そのような環境が生徒側にも、学校側にも揃っている様子が垣間見れる。
■③日本の教育、IB教育の両方の良いところ
学芸国際中等は、国公立の学校で初めてのIB-MYPとDPの認定校である。
学芸国際中等の特長は、文部科学省の学習指導要領とIBのプログラムの融合性にある。
IBが持つ方向性を活用し、日本のカリキュラムを構築している。
すなわち学芸国際中等はIBの考え方を1つの指針として活用し、日本語でナショナルカリキュラムを教える方法を構築した。
文科省の調査研究の文章にあるように、
IB の教育理念は全人教育にあり、そのカリキュラムは、学習指導要領が目指す「生きる力」の育成や、課題発見・解決能力、論理的思考力やコミュニケーション能力等重要能力・スキルの確実な習得に資するものである」
そこで、学芸国際中等は、日本の教育とIBの良い所それを併せ持った教育課程を構築したのだ。
前身の学芸大附属高校大泉校舎では、帰国子女教育の適応教育にいち早く取り組み、その指導法を全国の学校に広めていった。
前例を考えると、今後、学芸国際中等の指導法は、全国に広がっていくと考えられる。
公開授業
■1年生と4年生の授業
取材当日は、説明会の前に公開授業があり、多くの入学希望者やその保護者が授業を見学していた。
授業見学できたのは、1年生(中学1年)と4年生(高校1年)の授業だった。
説明会で「今日は、子供たちも少し緊張気味でした」と話していたが、授業内容、すすめ方、生徒たちの姿を見学し、雰囲気をつかむことができた。
エントランス
公開授業について
1年生は、1組から4組まである。
そのうち1組と3組が習熟度別に2つのに分かれ、英語の授業を受けていた。
また、4年生も1組から4組まであり、そのうち1組と3組が3クラスに分かれ、英語の授業を受けていた。
当日、公開されていた授業
授業時間 8:45-9:35 (50分)
1年生(中学1年)
英語 Foundation (1年1・3組)
英語 Advanced (1年1・3組)
理科 (1年2組)
数学 (1年4組)
4年生(高校1年)
英語 Ⅳ A (4年1・2組)
英語 Ⅳ B (4年1・2組)
英語 Ⅳ C (4年1・2組)
社会 (4年3組)
国語 (4年4組)
公開授業では、理科・数学を含め、カリキュラムの特色がでた授業だった。
また、習熟度別の「英語」の授業では、Advancedのクラスに帰国生が多いようだった。
見学して感じたこと
①生徒と先生の距離感
学校が発行するパンフレットの1ページに書いてあるように、少人数制の授業を取り入れている。
そのため習熟度別の授業においても先生と生徒の距離感が近いように感じた。
②先生のモチベーションが高い
学芸国際中等の先生は授業の他に研究や調査、教育実習など様々な活動を同時にこなしている。
また、IB-MYP導入を含め、日本の教育界において新しい分野を切り開いている緊張感がある。
日本の教育界において先駆者となるべき意識の高い先生方の姿があった。
③落ち着いた学習環境
在校生を含め、約700人の学芸国際中等。
パンフレットの1ページに「国際水準の教育を実現する少人数クラス」とあるように1クラス27~30人の編成である。
また学芸国際中等の特長は、全校生徒(6学年全体で)合計で約700人という規模である。
1学年、100人から120人前後で構成されている。
そのため在学中は、他学年の雰囲気を感じながらの学校生活となるだろう。
また、各学年で編入生が入学してくる。
学芸国際中等のホームページに掲載されている在籍生徒数から見ると1年生が105人、2年生では114人、5年生では124人と学年を追うごとに生徒数が多くなっている。*1
これは、編入生の入学に伴う生徒増加である。
編入生を4月・9月に受け入れるため、少しずつ生徒数が増える。
それでいて、1~6学年あわせて約700人という規模である。
6年間の一貫教育を含め、約700人の生徒が風通し良く学ぶ学舎といえるだろう。
ここがすごい! 東京学芸大学附属国際中等教育学校
■①帰国生と一般生、外国籍生徒が高めあう
約40パーセントが帰国生のため、一般生、外国籍生徒を含め、相互に影響し合い、高めあう環境にある。
■②伝統の教育ノウハウを活用。
■①帰国生と一般生、外国籍生徒が高めあう
前身の東京学芸大学附属大泉中学校では、1965年(昭和40年)に帰国子女教育学級を設置して以来、附属高校大泉校舎は、1974年(昭和49年)開校以来、帰国子女教育、研究の拠点となっていた。
帰国子女と呼ばれていた時代から多様性を持った教育ノウハウを蓄積してきた。
その上で、発展的に東京学芸大学附属国際中等教育学校に再編・統合された。
■①帰国生と一般生、外国籍生徒が高めあう
■③語学カリキュラムの厚み
前身の東京学芸大学附属大泉中学校では、1965年(昭和40年)に帰国子女教育学級を設置して以来、附属高校大泉校舎は、1974年(昭和49年)開校以来、帰国子女教育、研究の拠点となっていた。
帰国子女と呼ばれていた時代から多様性を持った教育ノウハウを蓄積してきた。
その上で、発展的に東京学芸大学附属国際中等教育学校に再編・統合された。
4年次からの国際教養において、外国語にフランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国・朝鮮語が開校される。
5ヶ国語から第二外国語を選択できるのも魅力のひとつだ。
日本の教育界をリードしてきた東京学芸大学
■その附属校だけに、教育の研究・調査も重要な使命
そのため、先生方は
1)授業・部活動の顧問など
2)教育方法の研究・調査
3)東京学芸大学の附属としての教員養成
多くの活動を同時にこなしています。
これ以外にも全国からの視察、数年ごとにIBの研修にも出席しなければならい。
日本の教育界の先駆者であるからこそ、新たな教育方法の研究や視察などが増えるともいえる。
それに応えながら、学芸国際中等の授業をより良いものにする姿がそこにはある。
インターナショナルスクールタイムズが帰国生におススメする理由
■①帰国生の教育伝統校である
前身の東京学芸大学附属大泉中学校、附属高校大泉校舎では、帰国生の教育がメインだった。
そのため、大泉中学校、高校大泉校舎時代を含め、帰国生の教育のノウハウがある。
■②在校生の約40%が帰国生であること
在校生の約40%が帰国生である。
そのため、同じような帰国生が多く、なじみやすい。
帰国生が多いため、日本語による指導にも配慮されており、落ち着いて学習できる環境である。
■③語学教育の充実
4年次から国際教養でフランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国語・朝鮮語も選択できる。
■④海外志向の強い学校である
外国籍生徒や帰国生の多さを含め、学校側も海外への進路の取り組みを後押ししている。
内外で活躍できるようにカリキュラムに工夫し、ワークキャンプを通じて生徒が海外で活躍できるように後押ししている。
■⑤イマージョン教育を導入していること
1、2年生の社会、数学、理科、国際1情報では、プレ・イマージョン授業。
3、4、5年では、社会、数学、理科でイマージョン授業が行われる。
イマージョンは、多くの授業でネイティブの先生が担当する。
■帰国生を対象とした入学、編入学選抜について
年2回 4月、9月入学を行っている
①4月入学・編入学検査
公示日 例年9月
入学・編入学 例年2月
発表・合格者保護者会 例年2月
②9月編入学検査
公示日、編入学検査、発表・合格者保護者会については、公式ホームページで公開されます。
検査内容
【A方式】
書類審査 100点
外国語作文*1 85点
基礎日本語作文 15点
面接 50点
*1 英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・中国語・韓国/朝鮮語から選ぶ。
1学年9月編入学、2学年から6学年までの編入学検査は
A方式のみ。
【B方式】
書類審査 100点
適性検査 Ⅰ 50点
適性検査 Ⅱ 50点
面接 50点
過去問題もホームページに掲載されています。
また、願書を含めPDFファイルでダウンロードできます。
学芸国際中等のホームページは、海外の郵便事情などを考慮されており、公開されている情報がほぼ掲載されています。
また、海外教育体験者対象の相談は、メールや電話でも随時受け付けています。
Q&A、通学、連絡先
■Q&A
Q.1 海外の現地校、インターナショナルスクール出身でも受験できますか?
A.できます。編入学は、4月と9月があります。
どちらも、成績証明書など必要書類があります。
学年によって必要と書類など違う場合があります。
詳しくは、東京学芸大学附属国際中等教育学校のホームページを参照ください。
Q.2 海外の日本人学校出身でも入れますか?
A.できます。編入学は、4月と9月があります。
どちらも、成績証明書など必要書類があります。
各学年によって必要と書類など違う場合があります。
Q.3 学費はどのくらいかかりますか?
A. 参考までに例年の入学金、授業料です。
①前期課程に入学するための入学金、
授業料はかかりません。
学年によりますが、副教材費、学校行事費、PTA会費、
ワークキャンプ費などの積み立てを含め一年間約30万円が
予想されます。
* 前期課程は、中学校にあたり、義務教育です。
②後期課程は、入学金が必要です。
授業料は、高等学校就学支援金制度により、国が保護者に
かわって支払います。
学年によりますが、副教材費、学校行事費、PTA会費、
ワークキャンプ費などの積み立てを含め一年間約30万円が
予想されます。
■通学方法
1)電車
西武池袋線「大泉学園」駅下車、徒歩8分
2)バス バス停「学芸大附属前」下車
鉄道各駅よりバスが出ています。
吉祥寺駅より: 約30分
西荻窪駅より: 約25分
阿佐ヶ谷駅より: 約35分
上石神井駅より: 約15分
歩いて8分の西武池袋線の大泉学園駅。 コンコースの下にバスターミナルがあります。
お問い合わせ
東京学芸大学附属国際中等教育学校
〒178-0063 東京都練馬区東大泉五丁目22番1号
HP:http://www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp
TEL 03-5905-1326
FAX 03-5905-0317
編集後記
今回の取材に関し、公開授業を含め、多くの先生方、職員のみなさまにお世話になりました。
この場で、御礼申し上げます。
特に説明会でお忙しいなか出口校長をはじめ、さまざま視点からお話をお聞かせいただいた田中副校長、福泉副校長には、本当にお世話になりました。
東京学芸大学附属国際中等教育学校が東京学芸大学附属大泉中学校、高校大泉校舎時代を含め、つねに新しい教育法に取り組まれていることを、身をもって知ることができました。
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。