ロンドンにあるインターナショナルスクールとは?
様々な人種が住む街、ロンドン。街を歩いていても、多くの言語が飛び交っています。
このバラエティに富むロンドンには、国際色豊かな子供たちも多く、それらの子供たちのためのインターナショナルスクールも多くあります。
International School of Londonの正門 (筆者撮影)
その中でも、人気のインターナショナルスクール、「インターナショナル・スクール・オブ・ロンドンInternational School of London(以下ISL London)」。
今回、同校に訪問し、母国語を大事にするカリキュラム、国際バカロレア、学校の特色等について伺いました。
ISL Londonとは
ISL Londonは1972年に設立された学校で、現在3歳から18歳まで、40カ国の生徒約400人が通う男女共学の学校です。
ロンドンには多くのインターナショナルスクールがありますが、その中でもISL Londonは早くから国際バカロレアを取り入れた学校です。
1978年に国際バカロレアのディプロマ資格を取得した学生が卒業しています。
どの学年も国際バカロレアのカリキュラムに沿った授業を受けることができます。日本人も多く通っています。
校舎の向こうにはロンドンのビルが立ち並びます。
学校は、ヒースロー空港からもアクセスの良いロンドン西部にあります。
近くには王立植物園キューガーデンやテムズ川も流れ、ロンドンでも自然の多いエリアです。
在校生の多くは、駐在員の子女が中心です。
そのため、数年の在籍が多いのが特徴です。
ISL Lodonの良さ、母国語プログラム
International School of London公式ホームページ スクリーンショット
今回は同校のマーケティングおよびデジタル部門に勤務しているBorio Naiaさんと、日本語を教えている松隈珠子先生に話を伺いました。
写真左:Naiaさん 写真右:松隈先生(筆者撮影)
編集部:ロンドンには多くの学校がありますが、お二人が考えるISL Londonの良さ、特徴について教えてください。
Naiaさん:我が校は全生徒400人です。
小さい学校なので、学年を超えてみんながお互いのことを知っています。
私は教師ではありませんが、生徒は皆私のことを知っているし、私も生徒のことを知っています。
様々な文化や言葉が飛び交い、いつもお互いがサポートし合う、本当にインターナショナルなコミュニティであるところがとても気に入っています。
美術室から見える風景。学校の裏には美しい緑が広がっています。
松隈先生:それと、他の学校にはあまり見られない、この学校の特徴的な点として「母国語プログラム」がありますね。
編集部:母国語プログラムとはなんでしょう?
松隈先生:我が校には世界40カ国の国籍を持った生徒たちが集まって来ています。
それぞれの生徒が母国語をしっかり学べるように、カリキュラムの中に「母国語を勉強するクラス」が組み込まれています。
Naiaさん:例え、その国の生徒が一人であったとしても、要望があればその言語のクラスを用意します。
もちろん日本語のクラスもあります。
例えば、最近で言うと、カザフスタン語を話す生徒が入学したので、カザフスタン語のクラスを用意しました。現在は22ヶ国の母国語の授業が行われています。
インターナショナルスクール・オブ・ロンドン(ILS London)の母語プログラムでは、アラビア語、中国語、デンマーク語、フィンランド語、ドイツ語、アイスランド語、日本語、韓国語、ノルウェー語、ポーランド、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、トルコ語などが提供されている。
編集部:これは、他のインターナショナルスクールではあまり聞かないカリキュラムですね
松隈先生:そうですね、放課後のクラブ活動として母国語や外国語を勉強している学校は多いですが、授業の一環として母国語カリキュラムを取り入れている学校は珍しいと思います。
この母国語カリキュラムを我が子に受けさせたい、と我が校を選ばれる親御さんも多いです。
体育の他にも様々なイベントが行われるホール
多様性を認め合う教育
編集部:授業内で母国語カリキュラムを取り入れる、と言うのはそれぞれの文化や言葉を数学や理科同様、大事に扱っていると言うことですね。
Naiaさん:そうですね。でも、母国語の授業だけではありません。年に何度か、各国の文化を紹介するイベントも開催されます。
それぞれの言語や食べ物、文化などを紹介したり、発表したりする機会です。
このイベントに限らず、それぞれの文化のイベント、ディワリ祭やイースター祭、カーニバルなどを積極的に取り上げ、子供達がお互いの文化を自然に尊重できる機会を設けています。
PTAを中心とする父兄の方も積極的にそれぞれの国の食べ物を用意してくださり、これらのイベントをサポートしてくださっています。
#ISLSpiritWeek continues with #PJDay: raising money for #charity @migrantsorg @SponsorMeUK pic.twitter.com/Gm7FwYeBqs
— ISL London (@ISLLondon) 2017年5月17日
充実した日本語国際バカロレアプログラム
編集部:ISL Londonは国際バカロレアを採用している学校ですが、日本語の国際バカロレア資格の授業もあるのですか?
日本語の教室。読み書きだけでなく、様々な日本の勉強をしていることが伺えます。
松隈先生: グレード11とグレード12(日本の高校2年生、3年生相当)の生徒は国際バカロレア資格を取るための国語(日本語)の授業を受けます。
編集部:実際どのような授業を受けるのでしょうか。 資格試験はどのようなものですか。
松隈先生:例えば、授業について言えば、二年間で、夏目漱石や川端康成などの文学作品を13冊ほど、生徒は読みます。そして、それらの作品についての様々なタイプの課題が出ます。
レベルとしては、大学で勉強する日本文学のレベルに匹敵するものだと思います。
そして、国際バカロレア資格の日本語の最終試験は、学習した課題図書のうち2〜3作品について、「時間の流れはどのように書かれているか比較して二時間で論じなさい」というエッセイや、詩や散文を読んで「作者の訴えたいことは何か、表現技法の考察を交えながら二時間で述べなさい」というような課題が出されます。
編集部:とてもレベルが高いですね!日本で受ける国語教育とは大きく違うようです。
松隈先生:そうですね。でも、日本の生徒は概ねとても熱心にこの国際バカロレア資格に取り組みます。
去年も3名の日本人の生徒が国際バカロレア日本語で最もレベルの高いスコアを取っています。
インターナショナルスクール・オブ・ロンドン(ILS London)のホームページでは、各言語で母語の大切さについて保護者に情報を提供している。
編集部:どうしても海外に住むと英語が優先になり、日本語や国語の勉強が後回しになることが多いと思うのですが、これだけレベルの高い国語の勉強ができるのは素晴らしいことですね。
松隈先生:はい。実際、日本の生徒は日本語だけでなく他の科目もおしなべて良い点数を取ることが多く、国際バカロレア資格をとても高得点で取得しています
編集部:日本語以外の科目は全て英語ですよね。それらの生徒は、もともとイギリス生活が長く、英語が得意な生徒だったのですか?
松隈先生:いいえ、ご父兄の仕事の関係で日本の中学や高校から転校してきた子供たちがほとんどです。
日本の中学や高校ではしっかりと英語の読み書き、基礎を勉強しているので、こちらにきてからも意外とスムーズに英語での勉強に取り掛かれるのかもしれません。
ISL Londonを訪ねて
様々な創作活動が行われるクラスの壁には素敵なデザインが施されています。
この学校を選ぶメリットは何でしょうか?という質問にお二人は何度か「ソフトランディング(柔らかい着地)」という言葉を使われていました。海外に引越しをする、というのはそれだけでもストレスの多いことですが、子供はさらに環境や友達、言葉、学校のカリキュラムの違い、などあらゆることに慣れていかなければいけません。
生徒も先生も皆お互いを知っている、様々な文化や言葉が交差するこの学校では、転校生が「自分だけ違う」と感じる必要がなく、まさに「ソフトランディング」ができるのでしょう。
父兄にも様々なイベントが用意されており、ロンドンを観光するツアーや各国のお料理教室、昼間お仕事をされている方には夜のイベントなど、PTAを中心に積極的に行われているそうです。
Naiaさんが「ここは大きな家族、一つのコミュニティ」とお話されていたのが印象的です。
母国語へのカリキュラムや国際バカロレアがしっかりしているだけでない、オープンで温かさをとても感じる学校でした。
オフィスには日本語を話せるスタッフの方もいらっしゃいます。
お問い合わせ
International School of Londonの公式ホームページ スクリーンショット
インターナショナル・スクール・オブ・ロンドン
International School of London
教育課程:幼小中高
カリキュラム:国際バカロレア(PYP,MYP,DP)
メインキャンパス(Main Campus)
139 Gunnersbury Avenue
London W3 8LG
United Kingdom
ディプロマカレッジ(DP College)
15 Gunnersbury Avenue
London W5 3XD
United Kingdom
TEL;+44 (0) 20 8992 5823
FAX;+44 (0) 20 8993 7012
Mail;[email protected]
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