カナダのトルドー首相
ジャスティン・トルドー首相は、1971年生まれの45歳。
カナダの元首相故ピエール・トルドーを父に持つ。
第23代カナダ首相のジャスティン・トルドー 引用:Face Book JustinPJTrudeauより
父のピエールは、首相時代に多民族国家のカナダでケベック独立に反対。
強力なリーダーシップを発揮し、カナダを一国にまとめようとしました
1971年には「多文化主義宣言」を行い、公用語を英語・フランス語の二カ国語にし、現在につながる多文化国家カナダの原型を作り上げたのが父ピエール・トルドーです。
この父が構築した「多文化主義」の教育が、カナダの教育を支え、国際教育の先進国にしたのです。
学校を視察し、子供に話しかけるトルドー カナダでは、多文化主義に基づき移民を受け入れている。
引用:Face Book JustinPJTrudeauより
編集部では、父ピエール・トルドーの理念が息子ジャスティンに教育として受け継がれていることに注目してみました。
ジャスティン・トルドー首相が受けた教育とは?
トルドーは、カナダの名門マギル大学で英文学を専攻し、1994年に卒業しています。
カナダのケベック州にある名門マギル大学(McGill University)で英文学を専攻。
その後、教員になると決意したトルドーは、名門ブリティッシュ・コロンビア大学で教育学の学位を取得しています。
カナダの東海岸にあるマギル大学から西海岸にあるブリティッシュ・コロンビア大学の教育学部で学んだトルドー 引用:ブリティッシュ・コロンビア大学の中学校教員のサイトのスクリーンショット
日本では、文学部の学生が「教職課程」も履修して、教師になっています。
トルドーも英文学を学んだマギル大学で「教職課程」を取れば良いと思いませんか?
ここにカナダの深イイ教育があります。
カナダの教員資格は、カナダの大学の教育学部で学ばないと取れないのです。
さらにカナダは、分権が進んでおり、教員免許は、各州ごとの教員免許が必要です。
すなわち、ブリティッシュ・コロンビア大学で教員免許を取ったトルドーは、ブリティッシュ・コロンビア州で教員としてのキャリアをスタートさせています。
カナダの深イイ教育とは?
カナダの教育は、多文化主義に基づいているため特徴があります。
トルドーの父ピエールが首相時代に宣言した「多文化主義」で英語とフランス語が公用語となりました。
また移民政策を推進したため、多様性ある教育がカナダでは進みました。
学校の視察で、子どもに話しかけるトルドー 引用:Face Book JustinPJTrudeauより
■イマージョン教育
カナダでは、英語・フランス語が公用語となっています。
公用語が二言語のため、言語が重要となり、そこから「イマージョン教育」という手法がカナダで生まれました。
言語イマージョン教育は、英語だけでなく、フランス語、中国語などがあります。
カナダではケベック州を中心にフランス語が話されており、当時の中流階級の親から「子供達が英語を話す自分達だけでなく、フランス語を話すカナダ人の文化や伝統も理解できるような実験的教育プログラムを作って欲しい」という要請があった。
アメリカのケリー国務長官の孫娘と握手するトルドー首相 引用:wikipedia
国民が相互に理解できるように言語の壁を乗り越える必要がありました。
そのためにイマージョン教育が発展していきます。
ちなみにイマージョン教育についてwikipediaは次のように記しています。
「その言語環境で」他教科を学びその言葉に浸りきった状態(イマージョン)での言語獲得を目指す。
イマージョン教育について細かい定義は、さらにありますが、トルドーの父ピエールが国として多文化主義として取り組むことを宣言した結果、教育も変わったといえます。
その結果、息子のトルドーがバンクーバーで教員として活躍の場が与えられることになりました。
「ここはリビングのテーブルではないんだけど、確かに仕事ははかどるよね」。宿題をするお子さんと。
引用:Face Book JustinPJTrudeauより
■多様性のある教育
トルドー首相は、就任後、米国のトランプ大統領がイスラム圏出身者の入国を制限することについてツイートしています。
カナダのトルドー首相は28日、ツイッターに「信仰に関係なく、迫害やテロ、戦争から逃れた人をカナダは歓迎する。多様性はわが国の強みだ」と投稿し、難民受け入れに寛大な姿勢を示した。
トルドーの父ピエールが首相として当時、直面したのは、フランス系とイギリス系の対立でした。
そのなかで父ピエールは、「二文化」から「多文化」に進めました。
それにより移民政策と先住民を尊重し、さまざまなルーツを持つ子どもたちが「カナダ」という国に心を寄せる多様性を尊重する教育が作り出されました。
ロボットの個性も尊重?
引用:Face Book JustinPJTrudeauより
父ピエールの多文化宣言が教育も変える。
教員としてトルドーは、ブリティッシュ・コロンビア州の学校のフランス語の代用教員として採用されます。
父ピエールが首相時代に多文化主義を宣言し、英語・フランス語を公用語としたため、結果的にフランス語の代用教員につながったのです。
トルドーの教員としての初日について、次のようなエピソードが残っています。
初出勤の日。トルドーは、カジュアルな服装で髪がボサボサ。おまけにサンダルを履いてきました。
朝の職員会議で、校長先生が新しい代用教員を教職員に紹介しようとした時、誰も気にしませんでした。
しかし、校長が「ジャスティン」ではなく、彼の姓の「トルドー」と言った時でした。
教職員は、「ジャスティン・トルドー」ということを知り、職員室は静まり返ったのです。
トルドーは、主に中学校でフランス語、算数などの科目を教えました。
編集部の調べでは、ブリティッシュ・コロンビア州の4校に勤務していました。
・公立ウィストン・チャーチル中学校(Sir Winston Churchill Secondary School)
・公立ピット・リバー中学校(Pitt River Middle School)
・公立ウエクティン中学校(Kwayhquitlum Middle School)
・私立ウエストポイントグレーアカデミー(WEST POINT GREY ACADEMY)
ウエストポイントグレーアカデミー(WEST POINT GREY ACADEMY)公式ホームページのスクリーンショット
チャーチル中学校でフランス語の代用教員をしていた時、当時の生徒は、トルドーの授業が面白かったと語っています。
また、ニューヨーク同時多発テロが起きた時、トルドーは、他の教員と違ったようです。
その時の印象を元生徒は、次のように語っています。
9/11が起きた時、ほとんど先生は、そのままいつも通りに授業をしました。
しかし、印象的だったのはトルドー先生の授業です。
彼は、その日、フランス語の授業をしませんでした。
その替わり、このような世界的な分岐点において私たちがどのように感じ、何を考えるべきか。
彼は生徒同士が話し合うようにしたのです。
トルドーは、主に算数とフランス語を教えていましたが、意外な科目も教えていました。
それは、結果的にトルドーが政治家になる上で、重要な科目だったようです。
トルドーが算数とフランス語以外に教えて科目。
それが、演劇です。
トルドーは、演劇を学校でも教えていました。
教員になる前にトルドーは、エンジニア、バンジージャンプやスノボのコーチなどをしていました。
学生時代には演劇も習っており、結果的にトルドーが政治家になるのにあたり、話し方など表現力を上げたと考えられます。
今のカナダは、過去の教育から
多文化理解と多様性を尊重する教育。
それは、トルドーの父ピエールが首相を務めた時の「多文化主義」宣言から今につながっています。
息子のトルドーは、父ピエールが築いたカナダと教育を受け、第23代首相に就任しました。
隣国アメリカが移民を制限する方針に進む中で、カナダの政策は、多文化主義の教育が実をつけたと考えられるのではないでしょうか。
自由党党首として、総選挙では多様性を尊重するキャンペーンを展開
引用:Face Book JustinPJTrudeauより
日本とカナダは友好的な関係です。
伊勢志摩サミットにも来日したトルドー首相。
再来日を楽しみにしたいですね。
来日時には、カナダ州政府認可のインターナショナルスクールを視察するでしょうか?
▼参考までに国内のカナダの州政府認定のインターナショナルスクールをまとめました。
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インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。